1 退職加算金の増額交渉・2 違法な退職勧奨に対する慰謝料請求

1 退職加算金の増額交渉

今回、会社からは、退職の条件として、月給3か月分の退職加算金の支給が提示されています。退職勧奨の際の退職加算金の金額は、希望退職制度による場合を別とすれば、何か基準があって定められているわけはなく、対象となる従業員ごとに異なる場合がありますり得ます。
そこで、もしあなたが、退職加算金の金額次第では退職しても良いとお考えであれば、会社に対し、退職加算金の増額交渉を行うことが考えられます。

2 違法な退職勧奨に対する慰謝料請求

(1) 次に、あなたとしては退職加算金を増額されても会社を辞めたくない場合、または、会社が退職加算金の増額には応じず、なおも退職勧奨を行ってくる場合について考えます。

(2) 会社が、特定の従業員に対して退職勧奨を行うこと自体は、原則として自由であり、業績の悪化や人員削減の必要性などの理由は必要ありません。
もっとも、退職勧奨が原則として自由であるといっても、無制限に行うことができるということではなく、社会的に相当な範囲内において行う必要があり、その範囲を超えれば違法な退職勧奨となります。裁判例でも、社会的に相当な範囲を逸脱した退職勧奨が行われた場合には、不法行為に基づく慰謝料請求(民法709条)が認められています 。

(3) 違法な退職勧奨に該当するか否かについては、

  1. 勧奨の回数
  2. 勧奨の期間
  3. 自由な意思決定を妨げるような言動の有無
  4. 勧奨を行う者の数
  5. 優遇措置の有無

などの事情を総合考慮して判断されることになります。

そのため、会社から執拗に退職勧奨を受けるようであれば、退職勧奨の際のメール・音声等を証拠として保存しておくべきでしょう。また、退職勧奨があった日にち、時間、場所、相手方について、メモでも良いので、残しておいた方がよいでしょう。

(4) また、裁判例の中には、

  1. 対象者が退職勧奨に応ずることの有利不利の諸事情を比較検討したうえで退職勧奨に応じない選択をしたこと
  2. さらなる説明・説得活動を受けても退職勧奨に応じない意思は堅固でありこの方針に変更の余地のないこと
  3. 退職勧奨のための面談には応じられないことをはっきりと明確に表明し、かつ、会社に対してその旨確実に認識させたこと/li>

を満たす場合には、その後の退職勧奨は、社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なものと評価されることがありうると判断したものがあります。

そのため、あなたに退職勧奨に応じるつもりが一切ないのであれば、その旨を、書面やメール等の証拠が残る方法により、会社に明確に伝えるべきでしょう。