今回の質問のようなケースでは、当該本採用拒否が無効とされる可能性があります。

多くの企業では、正規従業員を採用するにあたって、数ヶ月間を試用期間と定める「試用期間付雇用契約」を締結しています。この試用期間の間に採用しようとする人物の能力や仕事ぶりを評価して本採用をするかどうか最終判断していくことになるわけです。
この「試用期間付雇用契約」は、一般的には「解約留保付の雇用契約」であると考えられています。採用しようとする人物の能力や仕事ぶりによっては、解約権を行使する可能性がある雇用契約であると評価されています。
また、多くの企業が試用期間を設けている趣旨が正式採用を決定するにあたって採用しようとする人物に能力面等で問題がないかどうかを判断するためであることからすると、留保解約権の行使は、通常の解雇の場合よりも幅広く解雇権行使が認められるということになります。
ところが、試用期間の経過を経ずして解雇がされた場合、「試用期間が経過した時における解約留保条項に基づく解約権の行使が、上記のとおり、解約につき客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当と是認され得る場合に制限されることに照らせば、6か月の試用期間の経過を待たずして控訴人が行った本件解雇には、より一層高度の合理性と相当性が求められるものというべきである。」と述べて、結論として6か月の試用期間中3か月で本採用拒否したケースにおいて、試用期間の経過を待たずして留保解約権を行使する理由がないとして、当該解雇を無効とした裁判例があります(東京高判平21・9・15労判991号153頁)
したがって、今回の質問のようなケースでは、6か月の試用期間であるにもかかわらず、3か月での本採用拒否に、より一層高度の合理性と相当性が求められることから、当該本採用拒否が無効とされる可能性があります。