1 労基法第19条第1項該当性・2 私傷病休職である場合

1 労基法第19条第1項該当性

労働基準法第19条第1項は、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業する期間及びその後30日間(中略)は、解雇してはならない」と規定しています。

この点については、東京高裁平成23.2.23判決(東芝事件)は、「業務上」の疾病の意義については、「業務と相当因果関係のある疾病」であり、「当該疾病の発症が当該業務に内在する危険が現実化したと認められる場合に沿う相当因果関係があるとするのが相当である」と判示しています。
また、同判決は、就業規則の休職期間満了解雇退職規定と労働基準法第19条第1項の関係について、当該規定が労働基準法第19条第1項に反する場合には無効である旨判示しました。

したがって、あなたの休職の原因であるうつ病が、医師の診断書等により「業務上」であると判断される場合には、就業規則に休職期間満了退職規定があるとしても、これに基づく解雇(退職)は労働基準法第19条第1項に基づき無効となります。

2 私傷病休職である場合

上記1と異なり、あなたの休職の原因が「業務上」とは判断されない場合には、労働基準法第19条第1項の解雇制限規定は適用されません。そして、休職期間満了時までに休職事由が消滅しない場合に期間満了をもって退職するものとするとの自動退職の定めについては、休業期間満了時になお休職事由が消滅していない場合に、期間満了によって当然に復職したと解したうえで改めて使用者が当該従業員を解雇するという迂遠な手続を回避するものとして合理性を有するものされています。

したがって、あなたの休職事由が消滅していないのであれば、就業規則に基づき、自然退職となります。なお、あなたが休職事由は消滅していると主張する場合には、その消滅の有無について会社側と協議することとなります。