ある時点で会社と労働契約を締結し、その後に会社が一方的に労働契約を解消しようとしたことのわかる資料が必要です。

不当解雇を争うためには、まず、ある時点で会社と労働契約を締結し、その後に会社が一方的に労働契約を解消しようとしたことのわかる資料が必要です。

これに必要な資料の例としては、雇用契約書、内定通知書、労働条件通知書、これらに代わる電子メール、給与明細書、名刺など雇用関係の存在を示す資料と、解雇通知書、解雇理由証明書など解雇の事実を示す資料、などです。仮に解雇まで至らずに会社から退職を勧めてられている状態であれば、退職の条件を示した通知書などが必要です。

次に、解雇理由が不当であることを示す資料が必要となります。これは、解雇理由が何であるかによって異なります。仮に能力不足を理由とする解雇であれば、仕事の成果に関する書類や人事評価シート、仕事上使用した電子メールなどが考えられます。会社の業績不振を理由とする解雇であれば、会社の決算書や担当する部門の業績に関係する資料など、会社がどの程度業績不振にあたるのかを示す資料が必要です。あるいは、何か不適切な行為をしたことによる懲戒解雇であれば、懲戒の理由となる行為に関する資料などが考えられます。

いずれの場合でも、証拠の確保が極めて重要です。会社と表向きに争う姿勢を示すより前に、これらの資料を確保することが、その後の状況を有利に運ぶための重要な第1歩になります。

弁護士に依頼してできることは、①会社との任意交渉(内容証明郵便による請求内容の明確化を含む)、②労働審判の申立て、③訴訟の提起、などがあります。②と③は裁判所による手続ですので、行政上のあっせん手続等と異なり、最終的には法的な拘束力を持つものです。弁護士に依頼すると、このような法的拘束力のある手続を背景にした任意交渉が可能となるため、会社との交渉が空振りに終わる可能性が低いと言えます。

もっとも、依頼者の主張が法律上認められる可能性が客観的に高いと言えない場合、弁護士に依頼したからといって、依頼者の主張が通りやすくなるということではありません。あくまで、②や③を行った場合に、依頼者の主張が認められる可能性がある場合に、弁護士への依頼に意味があることは言うまでもありません。