使用者の契約更新の拒絶は合理的な理由がないと認められません。

期間の定めがある有期雇用契約は、期間が満了した時点で終了するのが原則です。

しかし、労働契約法は、以下のいずれかに当たる場合には、使用者が、労働者からなされた契約の更新または契約の締結の申込を拒絶することについて、社会通念上相当であると認められないときは、使用者が申込を承諾したものとみなすと定めています(労働契約法19条)。

① 有期雇用契約が過去に反復して更新されたことがあり、契約期間の満了時に契約を更新しないことにより契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約の場合の解雇と社会通念上同視できる場合

② 労働者が契約期間の満了時に有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものと認められる場合

裁判例には、パートタイム社員が17回の更新を経て勤続年数が15年7か月に及んでいた事案について、雇い止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、雇用契約が更新されたとみなしたものがあります(横浜地裁平成27年10月15日判決「エヌ・ティ・ティ・ソルコ事件」)。更新回数、勤続年数に加え、一般の常用労働者とほぼ変わらない勤務条件であったこと、更新手続が形式的なもので形骸化していたことなどを認定して、パートタイム社員に対する雇い止めが、期間の定めのない雇用契約における解雇と同視できると認定したうえ、雇い止めの合理性の有無を検討し、雇い止めが合理的な理由を欠くと判断しました。
以上をまとめますと、有期雇用契約であっても、雇用が継続されてきた期間、契約更新の回数、勤務条件が正社員と同等か、基幹的な業務か、契約更新の手続が形骸化していたかなどの事情を考慮し、期間の定めのない労働契約と同視できる場合や労働者の契約更新に対する期待に合理的な理由がある場合には、使用者の契約更新の拒絶は合理的な理由がないと認められません。