私的整理のすすめ      弁護士 住田昌弘

 

事業再生(企業再生)の手続には、裁判所が係る法的整理手続と裁判外の手続である私的整理手続があります。この両者を、法的再生手続、私的再生手続とも言います。

法的整理には、

  1. 会社更生手続
  2. 民事再生手続
  3. 特定調停

があります。

なお、特別清算手続や破産手続も、事業再生に活用される場合があります。

私的整理には、

  1. 純粋私的整理
  2. 準則型私的整理があり、
  3. 準則型私的整理手続として現在利用できるものとしては、次の手続があります。

ⅰ 私的整理のガイドライン

ⅱ 事業再生ADR

ⅲ 整理回収機構の企業再生スキーム

ⅳ 中小企業再生支援協議会の再生スキーム

ⅴ 地域経済活性化支援機構(REVIC)の再生スキーム

ⅵ 中小企業経営再建紛争解決センター(略称:企業再建ADR)  この手続きは、平成29年2月1日に法務省認証を受けたばかりの新しい手続きです。なお、この手続では、金融債権以外の債権も調整の対象とすることができるとされています。

 

私的整理では、原則として金融機関に対する債権だけについて、債権のカット、債権の株式化、債権のリスケジュールが行われます。つまり、商取引上の債権については、カットやリスケジュールの対象とならないため、取引先に迷惑をかけません。そのため、私的整理は、事業を棄損することなく事業の再生を実現できる再生手続となっています。

法的整理では、取引債権も債権カットの対象となるため、事業の棄損が発生せざるを得ません。

 

事業再生では、事業の棄損がない私的整理がおすすめです。