新型コロナウイルス禍を生き抜くための会社経営
(4)助成金、持続化給付金2020.4.28

新型コロナウイルス禍を生き抜くための会社経営 (4)助成金

新型コロナウイルス禍を生き抜くための会社経営(4)助成金、持続化給付金

 

センチュリー法律事務所

弁護士 鈴木 悠太

 

 今回は、融資、出資及び助成金を伴う資金繰り対策の中から「助成金、持続化給付金」を活用した資金繰り対策についてお話します。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年4月7日に日本で初めて「緊急事態宣言」が発令されました。この「緊急事態宣言」によって、企業は今まで以上に経済活動の規制を強いられることになりました。関連省庁や東京都では、新型コロナウイルスによる緊急事態の中、企業が事業を継続して雇用を維持できるように様々な助成金、補助金及び給付金の施策を行っております。

 助成金や補助金のメリットは、受給の要件を満たせば支給され、返済の必要がない点です。
 デメリットは、申請手続が複雑で、後払いのものが多いため先に資金を投入する余裕がない企業には使い勝手が悪く、受給されるまで1か月から2か月程度のタイムラグがある点です。しかし、先払いを行えるだけの資金的余裕がある企業については、テレワークを行うための設備整備、生産性向上のための設備投資、労働者の雇用維持のための休業手当等を金銭的に支援してもらえるため、助成金等の施策を積極的に活用することが得策といえます。

 以下では、関連省庁や東京都による代表的な助成金及び給付金の施策を紹介します。

 

1.雇用調整助成金

⑴ 雇用調整助成金は、厚生労働省による事業主向けの助成金です。

 労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず労働することができない状態を「休業」といいますが、事業主が労働者を「休業」させる場合には、「休業手当」(労基法26条)を支払う必要があります。「休業手当」の金額は、休業をさせる対象労働者の平均賃金の60パーセント以上とされています。雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を対象として、労働者に支払った「休業手当」について、企業の規模に応じた助成率に従って支給を受けることができる助成金です。

 

⑵ 雇用調整助成金については、新型コロナウイルス感染症による特例措置として、2020年4月1日から6月30日までを「緊急対応期間」と位置付け、緊急対応期間中においては助成金受給の要件等が緩和されました。具体的な受給の要件等は、以下のとおりです。

 

【支給対象】 

特例措置における支給対象となる事業主は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の縮小を余儀なくされ(売上高又は生産量の最近1カ月間の値が前年同月比で5パーセント以上減少した場合)、労使間協定(労働組合がある場合はその労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者との間で書面により協定を交わす必要があります。)に基づき雇用調整(休業)を実施する事業主です。

 

【対象期間】 

雇用調整助成金の対象期間は、雇用調整(休業)の初日から1年の期間内に実施された休業が対象となり、対象期間内の休業の実績を1か月単位で判定します(「判定基礎期間」といいます。)。
雇用調整助成金によって受けることができる支給日数の上限は、1年間で100日分、3年で150日分(休業の延べ日数を雇用調整助成金の対象となりうる対象労働者の人数で除して得た日数を支給日数とします。)とされています。

 

【対象労働者】 

雇用調整助成金の対象となりうる対象労働者は、事業主に雇用されている雇用保険被保険者ですが、雇用保険被保険者以外の方も要件を満たしていれば「緊急雇用安定助成金」の支給対象となります。

 

【対象となる休業】 
雇用調整助成金の対象となる休業は、
①労使間協定によるものであること、
②雇用調整助成金の対象期間内(1年間)に行われるものであること、
③判定基礎期間における対象労働者の休業実施延べ日数が、対象労働者の所定労働延日数の40分の1(大企業の場合は20分の1)以上であること、
④休業手当の額が平均賃金の60パーセント以上であること、
⑤所定労働日の所定労働時間内において実施されるものであること、
⑥所定労働日の全1日にわたるもの又は所定労働時間内に一定のまとまりで行われる1時間以上の短時間休業や一斉に行われる1時間以上の短時間休業であること、
の全てを満たす必要があります。

 

【助成額】 

雇用調整助成金における休業を実施した場合の助成額は、休業手当(休業を実施した場合に支払った休業手当に相当する額)×助成率(中小企業5分の4、大企業3分の2)(解雇等を行わない場合は、中小企業10分の9、大企業4分の3)となります。
ただし、1人1日あたりの上限金額は、8,330円(本コラム投稿時点)となっています。
なお、助成額については、今後拡大が予定されています。

 

【受給までの流れ】 

受給手続の流れとしては、
①事業主において労働者の休業実施計画を作り、休業実施計画について労働者との間で労使間協定を書面で締結する、
②休業実施計画の内容について計画届を作成し、計画届を労働局又はハローワークに提出する(提出は休業実施の前後いずれでも構いません。)、
③計画届に基づいて休業を実施する、
④休業の実績に基づいて雇用調整助成金の支給申請を行う、
⑤労働局で審査が行われ、支給決定がされると支給決定額が振り込まれる、という流れになります。

 

【必要書類】 

計画届の提出に必要な書類としては、
1)「労働者名簿」及び「役員名簿」、
2)「休業協定書」及び労働組合がある場合には「組合員名簿」、労働組合がない場合には「労働者代表選定書」、
3)最近1か月分及び前年同月分の売上高、生産高又は出荷高を確認できる書類(売上簿等)が初回提出時のみ必要となり、
4)「休業等実施計画(変更)届」が判定基礎期間ごとに必要となります。
「休業協定書」については、①休業の実施予定時期・日数、②休業の時間数、③休業の対象となる労働者の範囲及び人数、④休業手当の額の算定基準を記載する必要があります。

支給申請に必要な書類としては、
1)「支給要件確認申立書」、
2)「(休業等)支給申請書」、
3)「助成額算定書」、
4)「休業・教育訓練実績一覧表」、
5)出勤簿、タイムカード、シフト表等の労働・休日の実績に関する書類、
6)就業規則、給与規定、労働条件通知書等の休業手当・賃金の実績に関する書類
が必要になります。

 

⑶ 雇用調整助成金についての説明は以上となりますが、雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の縮小を余儀なくされてしまった状況化において、労働者を整理解雇するのではなく労働者を休業させて雇用を維持するために積極的に申請を行うことが求められます。

 

なお、雇用調整助成金については、以下のとおり更なる拡充が予定されています。

【拡充①】 
中小企業が解雇等を行わずに雇用を維持し、賃金の60パーセントを超えて休業手当を支給する場合に、60パーセントを超える部分に係る助成率を10分の10とすること

【拡充②】 
休業等要請を受けた中小企業が解雇等を行わずに雇用を維持している場合であって、
1)新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請により、休業又は営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主であって、これに協力して休業等を行っていること、
2)労働者の休業に対して100パーセントの休業手当を支払っていること又は上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っていること(支払率60パーセント以上である場合に限られます。)、
という要件を満たす場合には、休業手当全体の助成率を特例的に10分の10とすること

 

2.持続化給付金

  持続化給付金は、経済産業省による中・小規模の事業主向けの給付金です。

  本コラム作成日現在において、具体的な内容や条件は正式決定していませんが、以下の内容及び条件での支給が予定されています。

 

【給付額】 

法人は200万円、個人事業者は100万円

ただし、昨年1年間の売上からの減少分(前年の総売上ー(前年同月比50%減の月の売上×12カ月))が上限となります。

 

【支給対象】

1)新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者。

2)2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思がある事業者。

3)法人の場合は、①資本金の額又は出資の総額が10億円未満、又は②常時使用する従業員の数が2000人以下である事業者。

※ 資本金10億円以上の大企業を除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主が広く対象とされています。医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人についても幅広く対象とされています。

※ 2019年に創業した方や売上が一定期間に偏在している方などには特例があります。

 

【申請方法】
1)持続化給付金のホームページへアクセスします。(令和2年度補正予算成立の翌日に開設される予定です。)

2)申請ボタンを押して、メールアドレスを入力します(仮登録)。

3)入力したメールアドレスにメールが届いていること確認して、本登録を行います。

4)ID・パスワードを入力するとマイページが作成されます。

5)マイページに基本情報、売上額、口座情報等を入力します。

6)必要書類(スマホの写真画像でもOK)を添付して申請します。

7)通常2週間程度で給付通知書が発送され、登録した口座へ入金がされます。

 

【必要書類】

1)2019年(法人は前事業年度)確定申告書類

2)売上減少となった月の売上台帳の写し

3)通帳の写し(給付金が送金される口座)

4)個人事業主の場合は身分証明書(運転免許証等)

 

 この持続化給付金については、支給対象が広く、後払いではなく給付なので、積極的に申請を行った方がよいといえます。

 

3.働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)【上限100万円】

 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)は、厚生労働省による事業主向けの助成金です。

 

【支給対象】 

対象となる事業主は、新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークを新規導入する(試行的に導入している事業主も対象となります。)中小企業事業主です。

 

【助成対象の取組】 

助成対象の取組として、
1)テレワーク用通信機器の導入・運用、
2)テレワークに関する就業規則・労使協定等の作成・変更、
3)テレワーク導入にあたっての労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修、周知・啓発、
4)テレワーク導入にあたっての外務専門家(社労士等)によるコンサルティング、
のいずれか一つ以上を実施した場合、取組に要した費用の対象経費が助成対象となります。

助成対象となる対象経費は、支給対象となる取組の実施に要した費用のうち「謝礼、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、機械装置等購入費、委託費」で、助成額は、これらの対象経費の合計額の2分の1(100万円が上限)となります。

 

【実施期間】 

助成の対象となる事業の実施期間は、令和2年2月17日から同年5月31日となっています。

 

【手続の流れ】 

利用の流れとしては、
1)「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類と併せて、テレワーク相談センターに提出する(令和2年5月29日締切)、
2)厚生労働省から交付決定通知書が送付される、
3)事業実施計画に沿って取組を実施(要件を満たせば令和2年2月17日以降交付決定までに行った取組も助成対象となります。)、
4)事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請(令和2年7月15日締切)を行う、
5)厚生労働省から助成金が支給される、
という流れとなります。

 

 以上の助成金及び給付金の施策は、どのような企業や個人事業主でも支給要件を満たす可能性がある代表的な施策を紹介したものとなります。

 上記以外にも様々な助成金、補助金及び給付金の施策が行われていますので、関係省庁や都道府県による助成金等の案内を定期的に確認し、利用できる制度は積極的に活用しましょう。

以上

 

 

連載:「新型コロナウイルス禍を生き抜くための会社経営」

(1)新型コロナウイルス関連支援融資か、従前からの通常融資か

(2)人員削減を含む人件費削減について

(3)資金繰り対策のポイント

(4)助成金、持続化給付金(本稿)

(5)中小企業における株主総会対応について

 

 

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